そして伝説へ

2002年12月20日
「どうしても行くのか?」

ある老人は男の声をかえた。

「ええ。行きます!」

男は軽く答えた。するとその妹だろうか、1人の女が声をかけた。

「ねぇ、お兄ちゃん。わたしもつれて行ってよ」


「おまえはダメだよ」


男は言った。

そう、20年前のあの日と同じだ─。

男はそう思った。だけど、今度の旅は違った。男は老人に言った。


「今度の旅は、コレをおいていくよ」


そう言うと、胸に大きな鳥の模様がかかれた上着を脱いだ。何か家紋みたいだ。

「そうか。いらないのか?これがあれば、旅の先々でも便利だろうに」

「いや、いいんだ。こんどは─」

男はそう言いながら、不思議な渦を巻く泉に片足をいれていた。それを見ていた女がまた声をかけた。

「忘れ物はないの?まだ完成していないんでしょ?それ?」

男は笑いながら答えた。


「忘れ物はないよ。この泉、“旅の扉”が出来上がったら、向こうから呼ぶよ。まっててよ」


男はそう言うと、その不思議な泉、旅の扉に消えていった。どこに行ってしまうのか─。

ふと、女が気づいて老人に言った。

「お兄ちゃん、これ忘れていった。あー、やっぱりお兄ちゃんはおっちょこちょいだ」

「イイんじゃないのか。アイツはどこに行ってもアイツだよ」

「そうね。“大切なのはそこにある意志”って言ってたもんね、お兄ちゃん─。」


男が忘れていったモノは・・・・
















「サマルトリアの王子」という名前だった。
















男は、ただの男として、旅立った。
 
 
 
 
 
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サマルトリアの王子 第一章 完

「世界からコンニチワ!」な第二章は不定期更新で、世界各地から更新予定。

「お家アイコン」こと旅の扉は、


2003年1月1日に開きます。


最後に、読んでくれたみなさん。無断で名前を使ってもおとがめしなかったエニックス。

ほんとにどうもありがとうございました。

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